こんにちは。
佐藤三知代です。
前回の記事では、「植物×浄化」をテーマに、「光合成」に焦点を当て、植物たちが私たちに示してくれる素晴らしい力についてお伝えしました。
今回は、アロマテラピーの主役である「精油」の大元、「香りを持つ植物たち」に焦点を当てながら、植物の神秘的な力や浄化の作用について、お伝えしようと思います。
植物はなぜ“香り”をつくりだすのか?
「精油」は天然の植物たちが「もともと持っている香りの成分」を集めたものです。
その「香りの成分」は、芳香植物(ハーブ)と呼ばれる植物の花や花穂、葉や根から、
また、森林の木々の葉や枝葉、樹皮や樹脂、そして柑橘木の花、葉、実の果皮からも得ることができます。
また上記とは別の、もう一つの観点から。
「香りの成分」とは、植物の命の営みである「光合成」の過程で生成される、天然の有機化合物とも言えます。
つまり、人はこの香りの成分を「嗅覚」を介することで、「香り」として感じ取ることができるのです。
ところで、植物たちはなぜ、光合成の過程で「香りの成分」をつくり出すのでしょうか?
その理由には様々なことが考えられていますが、まず一つに
「受粉を助ける昆虫などを引き寄せるため」
「特定の動物に食べられないようにするため」
といったことが挙げられます。
これらは一般的に知られているところですので、ご存知の方も多いでしょう。
他にも「紫外線を吸収するため」「酸化防止のため」など、太陽光と上手に付き合いながら身を守るための手段として。土や空気中の雑菌や虫たちから身を守る「防虫・抗菌のため」など、様々な理由が挙げられます。
それから実は他にもう一つ、興味深い理由があります。
それは、「香りの成分をコミュニケーション手段として使うため」というものです。
「植物がコミュニケーションしている?香りを使って?」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、その生物としての進化の歴史を辿ってみると、また別の視点が生まれてくるかもしれません。
「動かない」という選択した植物は、私たち動物とは全く違う、独自の進化を遂げてきたからです。
その中には、植物の「根」の部分は人間の脳内にあるニューロンのようなはたらきをしている、といった研究もあり、植物たちが持つ神秘的な能力は、まだまだ知られていないことが実に多いのです。
植物は香りを使ってコミュニケーションしている!?
さて、この「香りの成分を使ったコミュニケーション」の一つとして考えられているのは、「植物内での情報伝達」というもので、人の「ホルモン」のようなはたらきをしている、という考えです。
ヒトのホルモンは血中を移動し、体内のバランスを調節するようにはたらいていますが、
植物は「香りの成分」を使って、根から土中の情報を、また花や葉から外界情報を根に伝達し、情報の受け渡しをしながら、変化の多い厳しい自然界の中でも自らを最適な状態に整えている、という考え方です。
また、植物同士のコミュニケーション手段にも香りを使っている、という説もあります。
森林の樹木たちは固有の香りを放出することで、自分たちのテリトリーを主張し、他の植物や樹木の生育を阻むようにはたらきかけながらも、お互いの香り成分を感知し合い、
樹木同士の枝葉の長さを調整するなど、互いに共生関係を維持しているという説です。
「森林浴」で感じる木々の心地よい香り、それらは総じて「フィトンチッド」と呼ばれていますが、その言葉には、フィトン=「植物」、チッド=「他の生物の発育を阻害する」という意味があります。
人にとって心地よい森林の香りも、植物たちにとっては「厳しい自然界で生き残るためのコミュニケーション手段である」と考えられているのです。
植物たちにも「意志」がある。
私はそう感じるのです。それは「命を繋ぐ」「種を存続する」という強い意志。
その意志を形にし、作用させるために「香りの成分」をつくり出しているのではと感じます。
香りの成分は、植物が「生き続ける」という意志をカタチにした「知性」であり「言葉」であり、命を繋ぐための「コミュニケーションツール」なのではないでしょうか?
植物が「香り」を通して教えてくれること
そんな「香りの成分」を凝縮したものが、「精油」です。
「精油」が放つ天然のアロマは、その「香り」を感じた途端、一瞬にして私たちの脳内に届き、全身に作用します。
呼吸が深くなることでリラックスできたり、反対に香りが刺激となって活力を回復させてくれたりもします。
また、感情のコントロールをサポートしたり、記憶にもはたらきかける天然アロマの香り。
このことは、植物が「香りの成分」を使って自らを「最適な状態に整える」のと同じこと。
天然アロマの香りは、人のバランスが崩れたところに働きかけ、「今の自分にとって最適な状態」に導いてくれてくれるのです。
また、過去記事でもお伝えしたように、香りは、潜在意識の領域である「大脳辺縁系」=「人が生きていくために必要な機能が集中する“本能”」に作用します。
植物は「香り」を介して、私たちの本能に大切な情報を伝えようとしてくれているのかもしれません。
「ありのままの自分で生きようよ」
「人間も自然界の一部なんだよ」
「生きているだけでも感謝だよ」
「植物の生き方を見てごらん」
そんな言葉が聞こえてくるような気がします。
ストレス社会を生きる私たちにとって、その言葉は、大きな浄化の作用をもたらしてくれるのではないでしょうか。
古代から、芳香植物や薬草は独特の香りと薬理作用で人の心と体を癒してきました。
また、現在の医薬品の大元も、全ては「植物」が持つ成分を単離(分離)したものが始まりです。
植物たちは「自分たちの命をつなぐ」という意志とは別に、「他の動物たちを癒し浄化する」という意志をも持っていると感じます。
香りを持つ植物たちは、その意志を「香り」という言葉、知性で、私たちの本能にはたらきかけてくれています。
ハーブに触れた時、森林浴に出かけた時、天然アロマの香りに触れた時、その香りがみなさんに向けて発するメッセージを感じ取ってみてください。
そのメッセージは、私たちの内なる自然を目覚めさせ、大いなる自然界の一部であることを教えてくれるでしょう。
――――
いかがでしたでしょうか。
植物は、アロマテラピーの精油の
元にもなるため、
生命誕生の時から、
もともと香りが備わっていた、
と思われる方もいらっしゃるかも
しれません。
しかし、植物がこの大地で
しっかりと根を張り
たくましく生きていくために
生存戦略の中で香りを
進化の歴史の中で獲得してきた、
と考えると
これまでとは違った捉え方が
できるのではないでしょうか。
さらに、
植物同士のコミュニケーション
手段としての香りの役割
もあったのですね!
自然の力は、私たちの思う以上に
強く、それでいて
しなやかな意志を
持っているのかもしれません。
そんな大地の生命力に溢れた
自然エネルギーを、
香りの力でうまく取り入れて
共存できるようにしていきたいですね。
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