こんにちは。
佐藤三知代です。
皆さんは普段から「季節」を意識して過ごされていますか?
忙しい毎日を送る私たち現代人。
日々、時間やスケジュールに追われ、なかなか季節を感じることは難しいかもしれませんし、季節のイベントやお祭りなどを控えなければならない自粛ムードの社会情勢や昨今の異常気象などの影響で、昔のように自然のリズムや季節感を感じにくくなっている方も多いのではないかと思います。
またそれに伴い、偏頭痛、胃腸の不調、睡眠障害、生理不順といった体のトラブルだけでなく、同時に、心のトラブルを抱えている方もいらっしゃるかもしれませんね。
季節を肌で感じる機会が少なくなると、自ずとその感覚も鈍ってきてしまいます。そうなると、私たちの脳内にある自律神経にも影響が出るため、体内に備わった自然のリズムが狂ってしまうのです。
私たちはこの地球に生きる他の動植物たちと同様、季節の移り変わりといった自然界のリズムによって、生命のリズムを整えています。
そのように考えると、自律神経の乱れからくる様々な不調は私たちに、「自然のリズムとはずれてしまっている」ということを教えてくれているために起こっているのかもしれません。
では、その「自然界のリズム」を感じるためには、どうしたら良いでしょうか。
そこで私がお勧めしたいのが、「旧暦」を取り入れた、自然のリズムを感じる暮らしです。
旧暦で、自然界のリズムとシンクロする
旧暦は、「太陰太陽暦」とも呼ばれる暦。
月(太陰)の満ち欠けの周期(太陰暦)を「ひと月」とする時間軸と、地球が太陽の周りを一公転する周期(太陽暦)を「一年」とする時間軸を組み合わせた暦で、明治5年に「改暦の詔書」が出されるまで、日本人の暮らしに長く深く根付いてきた暦です。
その太陰太陽暦は、種まきの最適なタイミングや木材伐採の時期、大潮や引き潮などを読み取るために使われていた暦で、農業、漁業、林業、そして人々の毎日の暮らしの拠りどころにもなっていました。
太陽暦は、太陽と地球の位置関係によって移り変わる暦であり、「四季」を読み取ることができます。360度で一公転する周期を24等分した「二十四節気」という言葉には、馴染みのある方も多いのではないでしょうか。
また、「四立=立春・立夏・立秋・立冬」や「二至二分=冬至・夏至・春分・秋分」も、この二十四節気の節目の一つです。
そして、この二十四節気をさらに三等分したのが「七十二候」。
二十四節気の間に変化する気象や自然界の現象、動植物の様子などをさらに具体的に示したもので、先人たちの自然に対する豊かで細やかな感性と観察眼を汲み取ることができます。
この二十四節気の中でも、ぜひ意識してみてほしいのが「四立」です。
四立は、その季節が極まり次の季節に転じる、いわばターニングポイントの時期にあたります。
一つ例を挙げてみましょう。
立秋は8月の初旬にやってきますね。8月は体感的にはまだまだ酷暑が続く時期でもあるため、「8月は夏」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、立秋は暦の上では秋になります。
このように季節と暦とは、微妙にずれているのですね。
とはいえ、そのことに気づくことさえできれば、暦を意識して自然の流れに沿ったリズムに体を整えていくこともできます。
たとえば「立秋」の声が聞こえてきたら、まずは体内の季節時計を「秋」にセットするなど、意識してみるのもよいかもしれません。
ふと空を見ると雲が高く、秋めいた爽やかな風が感じられるなど、夏の空や雲とはまた違った気配が広がっていることに気づかれるのではないかと思います。
また、酷暑の中に飛ぶ赤とんぼや、夜に鳴き始める秋の虫たちの声も聞こえてくるはず。
季節の変わり目ですので、外界の気温や気候は一時的に不安定にはなりますが、夏の「名残」と秋の「気配」を同時に感じることで、心身のブレが不思議と軽くなってくることを、徐々に感じられるようになっていくことでしょう。
“太陰暦”で、月のリズムを意識してみては
太陰暦は、年月日のまさに「月」を刻みますが、新月を1日として約29.5日を1ヶ月とする時間軸です。
ちなみに旧暦の1月1日は、立春に一番近い新月の日。立春は2月の上旬にやってきますので、旧暦と新暦(現代のカレンダー)とは約1ヶ月のズレが生じます。
たとえば七夕は、太陽暦では7月7日。この時期は梅雨に当たりますが、旧暦で見ると8月4日(2022年の場合)。夜空には美しい夏の星々の姿を目にすることができますね。
この他にも、9月9日の「重陽の節句」をはじめとした雑節も、旧暦で見ると菊の花が自然の状態で満開になる季節にあたります。
このように考えると、旧暦のリズムで生きていくことは、とても理にかなったことのように感じられるのではないでしょうか。
またこの他にも、月の引力は潮の満ち引きなど「水」に大きな影響を及ぼすと言われています。
私たちの体の約7〜8割は水でできているため、月のリズムと私たちの体のあいだには密接な関係があると言えるでしょう。
腸をはじめ、肝臓や腎臓など、体の臓器を表す漢字の部位には「月(にくつき)」が多く使われていますが、これはきっと、月は体にとって重要だということの表れでもあるのだと思います。。
こうしたことからも、「月の満ち欠けを意識して、そのリズムに沿った生活をすることで心身の状態が整う」ということが言えそうですね。
この他にも、女性の生理を「月のもの」と呼ぶように、女性ホルモンと月の満ち欠けの関係には非常に密接なつながりがあります。月の満ち欠けを意識しただけで子宝に恵まれた、という話を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。
このように、旧暦に親しむことで季節の移り変わりはもちろん、月の満ち欠けを起こす「目には見えないエネルギー」を感じ取ることができるようになっていきます。
いずれにしても、旧暦を意識すると1日や1年、昼と夜、春夏秋冬という季節の変化は、地球の自転と公転、月の公転という「天体の回転と循環運動」によってもたらされているということを再認識させてくれます。
そして、時間や季節は単に流れていくものではなく、立体的でゆらぎながら循環している宇宙の営みがもたらしてくれるものであるということ。
またその営みが刻む自然界のリズムにシンクロするということは、この地球上に生きる動物、植物、微生物と同様に、私たちが本来持っている生命力を高めてくれることにつながる、という実感をもたらしてくれるでしょう。
旧暦をベースにした暮らしは、自然界のリズムとシンクロすること。
旧暦は、私たちの生命力が輝き出すように自然と心と体を整えてくれる、いわば宇宙の源ともいえるエネルギーのリズム。
それゆえに、どんなに外界が変化してもいつでも戻ってこれる軸であり、私たちの拠りどころになってくれるのです。
古くて新しい暦を、これからのスタンダードに
日本では、明治以降に太陽暦(グレゴリオ暦)のみが採用されたことで、現代に生きる私たちは自然界が奏でる本来の美しいリズムを感じ取ることができにくくなっているのかもしれません。
太陽暦は「昼の象徴」。輝かしい地位や名誉、物質的なものを重視する時代の象徴です。
一方の太陰暦は「夜の象徴」であり、目には見えない感性、直感、あらゆるものを包み込み、受容、共創する時代の象徴といえます。
このように太陽暦と太陰暦の二つの暦を捉えてみると、これからの時代には目に見えるものと目に見えないもの、その両方を感じ取ることのできる感性やバランス感覚が必要になってくるような気がしてなりません。
太陽と月、そしてこの地球が織りなす自然界のリズムを同時に感じることができる旧暦は、太古の昔から受け継がれる、自然とシンクロするための一番身近なツール。
そう考えると、旧暦は「旧」ではなく、むしろ「新」。
これからの時代を軽やかに生きるため、そして私たちが忘れてしまっている、本来の自分や元々持っている素晴らしい能力など、その全てを思い起こさせてくれる「新しい和暦」に値すると思うのです。
――――
いかがでしたでしょうか。
明治期まで日本人の暮らしに深く長く
根付いてきた、太陰太陽暦。
佐藤さんの文章を読みながら、
かつてあった太陰太陽暦は、太陽の
運行と月のリズムをバランスよく
組み合わせた、とても理にかなった
暦だったのだろうと、改めて感じる
ことができました。
そして、日本では長い間、この暦を
もとに節目節目で農耕やお祭りといった
大事な年中行事が行われてきた
ということですね。
日本人特有の自然に対する繊細な感性や
美意識は、本来の自然のリズムに沿った
素晴らしい暦があり、それが暮らしの
中に根付いていたからこそ育まれてきた
ものなのかもしれません。
自然のリズムを感じにくくなっている
今だからこそ、日々の暮らしの中に
ほんの少しでも暦を意識する
ひとときを。
秋の夜長に、自然の声にゆっくりと耳を
澄ませてみる時間をつくってみては
いかがでしょうか。
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