こんにちは。
佐藤三知代です。
前回は植物が持つ「もう一つの言葉=形態」についてのお話から、「人と植物はシンクロしている」ということについてお伝えしました。
今回は、アロマテラピーの主役「精油」に焦点をあて、精油と私たちとの関係について
お話を進めてみようと思います。
小さな瓶に集められた香りの成分「精油」には、植物としての形は残っていません。
それでも、その精油が元々どんな植物のどの部位から採油されたものなのかを知ることで、形がなくなっても、植物と私たちがシンクロしているということがわかってきます。
天然アロマの香りを楽しみたいけれど、どんな精油を選んだらいいかわからない・・。
そんな時の参考にもなると思います。
それでは早速、「フランキンセンス精油」を例にお話を始めることにしましょう。
どうぞ最後までお付き合いください。
「樹脂」が教えてくれること
フランキンセンス精油は、フランキンセンスという樹木の「樹脂」から採油されます。
この樹脂は、樹皮に傷をつけた時に出る白い樹液が空気に触れて固まったもの。
白い樹液が固化したものから得られる精油であることから「乳香(にゅうこう)」とも呼ばれています。
また、オリバナムとも呼ばれるこの精油は、古くから宗教儀式などにも使われてきた歴史から、「聖なる香り」と言われてきました。
旧約聖書にはキリストの誕生時に、『東方の三賢者が黄金と共に献上した』と伝わっているほど、当時はとても貴重なものだったのです。
さて、この「樹脂」の元々の働きは「傷ついた樹皮を覆い修復する」ことです。
実は、このフランキンセンス精油には「瘢痕(はんこん)形成作用=傷を治す作用」という薬理作用があり、私たちが怪我をした時などに「皮膚に塗布することで傷を治す」ために利用することができるのです。
※精油は直接皮膚に塗布せず、キャリアオイルなどに希釈して使います。
つまり、樹木が自らの傷を癒すというはたらきが、私たちの皮膚に対しても同様に作用してくれる、ということ。
この他にも「抗うつ作用」や「鎮静作用」などの薬理作用もあることで知られています。
心が傷ついた時や沈んだ時、また平常心を保ちたい時などにこの香りを使うと心身をリラックス状態に導いてくれるだけでなく、心の浮き沈みを調整し、ゼロの状態に戻してくれる作用も期待できるのです。
瞑想時にフランキンセンスを好んで選ばれる方も多いですが、きっとこの精油の作用を実感されているからなのでしょう。
いずれにしても、フランキンセンス精油には「傷ついた樹皮を覆い修復する」という樹脂のはたらきが写し取られていて、私たちの「体の傷」も「心の傷」も同時に癒してくれるというはたらきをもたらしてくれるというわけです。
そしてここでもう一つ、重要なポイントがあります。
それは、「樹皮」が「皮膚」と同様に「内側と外側の境界」の役割を持っているということ。
他者からの影響を受けたくない、自分とじっくり向き合いたい、邪気から身を守りたい、結界を張りたい・・という時は、フランキンセンス精油はもちろん、「樹脂」から採油された精油の香りを手にとってみてください。
それにより、きっとあなたを望む状態へと導く助けとなってくれるでしょう。
また、自分では意識できていなくても、その様な状態を望んでいるという時にも、樹脂の
精油を選ぶことがあります。
選んだ香りが示す部位のはたらきが「本当はこうありたい」というあなたの本能からの思いを知る手掛かりにもなるのです。
植物の部位とシンクロする体・心・魂
精油の材料となる植物の部位が、私たちの心身にどの様にシンクロしているのかを、簡単にご紹介しておきましょう。
フランキンセンス精油の例から「樹脂」から採油される精油には、私たちの心や体の傷を癒やし、内省をサポートしてくれる。そんな特徴があることがわかりました。
同様に、「花」から採油された精油は私たちの「頭部」と共鳴していることが多く、脳の中枢機能(生きるための脳)の不調からくるトラブル、例えば睡眠やホルモンバランスなど、自律神経系の働きに作用する薬理作用を持った精油が多く存在しています。
また、「花」は植物の個性を表現する部位でもありますね。
「自己実現したい」、「ありのままの自分を受け入れたい」という時など、それぞれの自己のあり方を、花の精油の香りが支えてくれます。
同様に、「葉・茎葉」から採油された精油は、私たちの「胸部」と共鳴しています。
葉や茎葉の役割から、私たちの呼吸器や体液の循環を助ける薬理作用を持ちつつ、同時に「手放す」「水に流す」「変わっていい」、そんな心を後押ししてくれるでしょう。
他にも、「根」「種」「木部」「芯材部」「花穂」「柑橘果皮」など精油が採油できる部位は様々ありますが、それぞれの部位の植物としてのはたらきが、私たち人間のはたらきとシンクロして、体・心・魂を整える助けになってくれるのです。
精油の香りは本能へのメッセージ
「いい香り!」と思える香りに出会った時、その精油がどの部位から採油されたものなのか意識してみましょう。
その部位やはたらきは、調子が良くない体の部位や機能に相応し、私たちに何かしらのメッセージを伝えてくれています。
またそれを通じて、今の自分がどのような状態にあるのか、本当はどうしたいのか?といった、心の不調への気づきにもつながることでしょう。
「心地よい」と思う香りは人それぞれ違いますし、体調や心の状態によっても変わってきます。
それは、私たちが常に変化していて、精油とシンクロしているからこそ。
香りは嗅覚を通して、瞬時に脳の中枢=本能によって感知されます。
「心地よい」と感じる香りは生きるために必要な香りであり、私たちの心身を最適化するための植物からのメッセージでもあるのです。
――――
いかがでしたでしょうか。
植物には、本当にさまざまな
はたらきがあって、
私たちの体と心とも、
驚くほどシンクロしているのですね^^
目には見えないけれど、
たしかに繋がっている、
植物と私たち。
精油を日々の暮らしの中に
取り入れることで、植物たち、
そして自然に生かされていることに
もっと気づけるようになっていく
ことでしょう。
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