こんにちは。
佐藤三知代です。
前回の記事では、植物たちの「香りの成分」は植物同士の「コミュニケーションツール」であるということ。
また、その香りの成分を集めた「精油」が放つ天然のアロマは、私たちの嗅覚から浄化と癒しのメッセージを脳内に届けてくれる「言葉」でもあるというお話をしました。
今回は、植物が持つ「もう一つの言葉」についてのお話です。
その言葉は、私たちにどんな事を伝えてくれるのでしょうか。
どうぞ最後までお付き合いください。
植物の形が教えてくれること
五芒星や六芒星などの「形」には、ある種のエネルギーが宿る、と言われています。
それと同様に、植物にもそれぞれに独特の「形」があり、その「形」が言葉となって私たちに教えてくれることがあります。
そう。それは植物たちが持つもう一つの言葉ーー「植物の形態」です。
たとえば、みなさんよくご存知の植物に、神事に用いられている「榊(さかき)」があると思います。
「神の木」と書くことから、榊は古来神聖な樹木の象徴とされ、「先の尖った植物は神が降り立つ依代となる」と伝えられてきました。
榊はツバキ科の常緑低木。その強い生命力は葉のそれにもあらわれ、ピンと張り、艶やかに
輝く様子を、一年を通して私たちに見せてくれています。
まるで尽きることのないような生命力、そしてツヤツヤと輝く葉に尖った葉先。
そのような榊の形から、禍々しいものを祓う、場を浄化する、神が降り立つ依代という言葉(メッセージ)を先人たちは読み取ったのでしょう。
節分に「柊(ひいらぎ)」をお供えする地域がありますが、「柊」もまた、葉先の尖った形状を持つことから、季節の変わり目に入り込む鬼(邪気)を祓う、とされていますね。
「天に向かって真っ直ぐに伸びる」樹木の姿もまた、神々が降り立ち、そこに宿る神聖な木であることを、言葉として伝えてくれているのでしょう。
日本の森林を代表する「杉」や「檜(ひのき)」、西洋ではシダー類の木々などはその形状から、「神聖さ」、「浄化」、「祓い」、「神の依代」といった木々がもたらしてくれる作用を教えてくれているのです。
「人を癒す」 パワーをもつ植物たち
ところで、皆さんは「小豆はむくみをとる」、「クルミは脳の働きを良くする」といった話を聞いたことはありませんか?
「自然界には、季節や風土に合わせて人の心身を整えてくれる植物が必ず用意されている」
と言われています。
とくに、食材となる植物には「臓器と似た形を持つものは、その臓器の不調を改善する働きがある」といわれています。
実際に、小豆は腎臓の形にそっくりですし、クルミの殻は頭蓋骨に、中身は脳の形にそっくりですよね。
やや専門的な話になりますが、このような考え方は、古代ギリシャや古代ローマの時代から、植物の色や形などの特徴はその植物の薬理的作用を示すという意味の、「ドクトリン・オブ・シグネチャー(特徴表示説)」として、提唱されてきたのです。
一方、東洋医学においては、人の体の部位に似ている植物は、その部位の不調を癒す作用を持つ「形象薬能論」として提唱され、現代まで伝わってきました。
「科学的な根拠がない」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、現代では科学的な分析によって、薬理的にもそれを裏づける有効成分が含まれていることがわかっています。
いずれにしても、これらの植物たちは、その「形態を言葉に、私たちを癒すことができる存在である」ということを私たちに教えてくれています。
現代のように科学的な分析技術がなかった古代の人々は、場の東西を問わず、植物の形、色、香り、どこでどのように育ち、増えていくのか?といった植物の形態=生命体としてのありようを観察し、その形態が示してくれる「言葉」を読み取ることで、人体のどの領域に、どのようにはたらきかけてくれるのかということを感じ取る感性を持っていたのではないでしょうか。
植物の形は「単なる形」ではなく、「命が宿る生命体としての形」で、私たちにさまざまなメッセージを伝えてくれています。
その「形」が象徴するものは薬理成分だけではない生命としての形、エネルギーの表出した姿そのものなのです。
そしてその生命エネルギーこそが大自然からの恩恵であり、私たちの心身の生命力を全体で底上げしてくれる源なのではないかと思うのです。
そういう意味で、私は、大祓の時などに用いる「形代」にも同様のことを感じます。
形代自体は紙ですが、紙も元々は植物。
人の形をした紙=植物が、その人の身代わりとなって邪気を払うということも「人と同様の形態」がもたらしてくれる「祓い」であり、「癒し」なのではないでしょうか。
私たちは植物とシンクロして生きている
同じ地球上の生命体でありながら、全く違った進化を遂げてきた植物と人間ですが、植物は、声(音)としての言葉ではなく、その命ある形(形態)を言葉に変えて「人と植物はシンクロしている」ということを教えてくれています。
そのことに気づくだけで、世界の見え方が変わってくるのではないでしょうか。
これからはぜひ、みなさんの身の回りにある植物の形や色、香りを意識して感じてみてください。
花の形や色は? 葉の形は?香りはありますか?触った感じはどんな感じでしょうか?
雌しべや雄しべの形は?どんな環境が好きですか? どのような増え方をしていますか?
みなさんが注意を向けた植物は、形態を言葉に変えて、みなさんにメッセージを伝えようとしているのかもしれません。
五感を研ぎ澄ませながら、その言葉を読み取る感性を磨いていきましょう!
――――
いかがでしたでしょうか。
私たちは通常、
言葉を使ったコミュニケーション
を行っており、
それが意思疎通の唯一の方法である
かのように思えるかもしれませんが、
実はそうではないのですね。
植物はその形を通じてメッセージを
伝えてくれるように、
「言葉」という枠組みから一歩外に
出てみると、
世界にはさまざまな、言葉ならぬことばが
溢れていることに気づくでしょう。
よく言われているように、
言語情報で伝えられることは
ほんの10%にも満たず、
その他の90%は声のトーンや表情、雰囲気、
身体の動きやちょっとしたしぐさといった
非言語(ノンバーバル)から判断している
ということにも
通じるものがありそうですね。
そう考えると、言葉は大事であっても
唯一のメッセンジャーではない、
ということが見えてきます。
植物は、そんな大切なことを
私たちに伝えてくれているようです。
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