みなさん、こんにちは。
佐藤三知代です。
「季節の変わり目は体調を崩しやすい」と言われますね。
私たちの日常でも、引っ越しや転職など、ライフスタイルが大きく変わる時はとくに、心も体も落ち着かなくなるものです。
しかし、「季節が変わる」ということは、宇宙レベルで大きな変化が起こるということ。
「ゆらぎ」の中にある自然界のリズムが大きく変調し、その振れ幅が大きくなることで、私たちの心と体にも自然と影響が出てくるのです。
ところで、「季節の変わり目」とは一体いつ、どのくらいの期間なのでしょうか?
現代のカレンダーは明治期以降に新しく採用された暦に基づいた設計であるため、それを見てとることはできません。
しかしながら、太陽、月、地球が奏でる美しい自然界のリズムの暦、つまり「旧暦」の中には、その「季節の変わり目」の兆候が現れています。
そして旧暦を拠りどころにすることで、氣のゆらぎに翻弄されることなく、軽やかにその変化を乗り越えていくことができるようになっていきます。
今回は、その「季節の変わり目」がもたらす「目には見えないエネルギー」を旧暦の中に見ていくことにしましょう。
そこには東洋の自然観である「陰陽五行」の思想が深く関わっていますので、ぜひ最後までお付き合いください。
陰陽五行と暦における「土」のはたらきとは?
天体観測から始まったと言われている陰陽五行思想は、古代の人々が、太陽と月、昼と夜、天と地、動と静など、「対極するものの中に“陰陽”という概念」を見出したことに始まります。
また、季節の移り変わりなどの自然界のサイクルや命の循環にも、この「陰陽」という「目には見えないエネルギー」が作用していることを見出したのです。
この、目には見えないエネルギーである“陰陽”が自然のサイクルによって入れ替わり、流転することによって、目に見える物質世界が創られること。そして命の営みもまた、この同じ循環の中にあると考えられてきたのです。
「五行」とは、その陰陽の作用が創り出した、地球を構成する「目に見える五元素」のこと。
「木(もく)・火(か)・土(ど)・金(こん)・水(すい)」と呼ばれます。
これを暦の視点で見てみると、何気なく使っている「曜日」も、「月(陰)→火→水→木→金→土(五行)→日(陽)」というリズムを刻んでいることにお気づきの方もいらっしゃるでしょう。
このように、暦を刻む曜日の名称にも、「事象は常に流転し循環している」という陰陽五行の思想が息づいているのです。
また、陰陽五行の考え方は、季節とその移り変わりにもシンクロしています。
たとえば、陰の氣(拡散のエネルギー)が上昇することで陽の氣が満ちて外気が暖かくなってきますし、逆に、陽の氣(収縮のエネルギー)が下降することで陰の氣が生じ外気が冷えてくる、ということです。
五行は「木=春」→「火=夏」→「金=秋」→「水=冬」といったように四季と共鳴し、その季節の循環を表すものとして、旧暦の中にも取り入れられているのです。
さて、ここでお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、これら「四季」の中には、「土」の季節に相応するものがありません。
では、これが意味するものはどんなものなのでしょう?
五行における「土」のはたらき。それは、生命が死んだら土に還り、その土がまた次の新しい生命を育み出すように、一つの季節を終わらせて新しい季節を産み育てる、という「生と死を司るエネルギー」であり、「生命の循環をもたらす母体」としてのはたらきがあるのです。
つまり、陰陽と同様に、土には「目には見えないエネルギー」が宿されているということです。
旧暦においては、「土」は五行の中心に位置づけられます(五行土王説)。
すなわち、「土」は「季節の循環を促す回転の中心軸」として季節を流転させるはたらきがある、ということを意味しているのです。
旧暦の「土用」に秘められた重要な意味
この季節の循環を促す「土」のはたらきは、旧暦では「土用」として年に4回、約18日間という期間で巡ってきます。また、立夏の前の約18日間が「春土用」、立秋の前の約18日間が「夏土用」、立冬、立春の前にも同様にやってきます。
つまり、この期間が「季節の変わり目」であるということです。
「四立」とは、その季節が極まって転じるターニングポイントにあたりますが、この土の回転軸が回転することによって、陰陽が動き、季節が動き、極まり、転ずる時である「四立」を迎えることができるのですね。
このように、旧暦では「土用」という目には見えない「季節の変わり目」も、一つの季節として捉えられるのです。
つまり、旧暦は、この季節の変化を促す「土用」を加えた、「五季」で巡っているということです。
土用の期間は、昔から引っ越しに象徴されるように「土を変えることを避ける」といった風習もありますが、これはおそらく、土がもたらす「氣の乱れ」を避ける、という意味が含まれているのでしょう。
同様に、五季で巡る旧暦に寄り添い、いつ土用がやってくるか?その時期を予め知っておくことで、心と体のケアに役立てることもできます。
また、五行は人体の臓器とその巡りともシンクロしていますので、「土用」と共鳴する体の臓器や思考の傾向、それらを整える食材や食べ方などを知ること。アロマなどを使って、精神を整えるといったことなども、五行、すなわち自然のリズムに沿って生きるための良き方法となります。
「土」は、全ての巡りの中心
「土」の回転軸は、季節を動かすだけでなく、月の満ち欠けや1日の時間も動かしています。
それは天体の回転であり、公転であり、宇宙の巡りそのもの。
万物はこの「土」という中心軸が動くことで陰陽が流転し、事象が変化、循環していくのです。
人体の臓器を表す「月」に「土」と書くと、「肚(はら)」になりますね。言うまでもなく肚は胃腸、特に腸の部位を指す言葉で、肚は私たちの体の中心となる場所です。
肚=腸を整えることによって体全体の循環が良くなるということは、皆さんも十分にご存知のことでしょう。
また、陰をマイナス、陽をプラスと考えた時、「土」という漢字は「プラス+とマイナス−」を合わせたものを表している、ということにお気づきの方も多いでしょう。
これらのことから、「土」は回転の中心であると同時に、陰と陽、太陽と月、生と死など、二極の状態全てを受け入れ、中庸、ゼロ、無という状態に整えることで、また新しい命を生み出すというエネルギーを持っている、ということが自ずと見えてくるのではないでしょうか。
このような「土」のはたらきに、個人的にはアメノミナカヌシのおはたらきを感じています。
陰陽五行、旧暦に親しむことは、自然界がもたらす美しい流転のリズムと一体になること。
直線的な一つの時間軸ではなく、土を中心に美しく回転する同心円の中に生きることは、自然界を創造した神々のおはたらきと一如になる、ということにつながるのではないでしょうか。
――――
いかがでしたでしょうか。
「土用」と言えば「土用の丑」が
有名で、夏の暑い時期に精をつける
ために鰻を食べる人が多い、
くらいの浅い知識しかなかったの
ですが、今回の記事の内容から
陰陽五行、そして旧暦における
「土」とは季節が動く大事なターニング
ポイントであるばかりでなく、
「目に見えないエネルギー」を司る
重要なはたらきがある、ということが
よく見えてくるようでした。
だからこそ、この「土用」の時期を
知ってうまく活かすことができれば、
心と体にとっても良く、自然と調和
しながら大宇宙のリズムに沿って生きて
いくことに繋がるのですね。
佐藤さんの、
「すべての巡りの中心である土」
という言葉も、深く心に沁みました。
これからは四季の巡りに対応する、
「木=春」→「火=夏」→「金=秋」
→「水=冬」だけでなく、これらに
「土」を加えた五季を意識しながら、
日々の暮らしの中に生かしていきたい
ものですね。
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