食べることで腸と地球を健康に!「プラネタリーヘルス」

ガラス地球儀と自然

こんにちは。
essence編集部です。

すでに「アフターコロナ時代」を
生きている私たち。

予想だにしなかった一大事が、突然身に
ふりかかってきたことは、
私たちに多くの試練をもたらしましたが、

その一方で、社会システムの変革はじめ、
働き方やライフスタイルに大きな変化が
起こったこともまた、必然のように思い
ます。

そう考えるとやはり、ものごとは単純に、
良い・悪いでは決められない、ということ。

そして私たちの命は、大きな流れの中に
生かされているということを
実感させられるのではないでしょうか。

そうした大きな変化の中で、社会の中で
自然と浮かび上がってきているテーマ、

それが「繋がり」です。

繋がりといえば、
一般的には人と人の間に結ばれる関係を
イメージされる方も多いでしょう。

しかし、少し視野を広げて考えてみれば、
繋がりとは、何も人と人の間で起こるもの
ばかりではないことに気付かされます。

たとえば、生命が「肉体」という
一つの個体として存在するためにも、

様々なものと
「繋がり合って」いるからこそ、
命を繋ぐことができています。

今回は、
そんな広い意味での繋がりについて、
「プラネタリーヘルス」をテーマにした

『腸と森の「土」を育てる
〜微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)

の著者である、
桐村里紗さんに記事を執筆して頂きました。


著者プロフィール:
桐村里紗

医師
tenrai株式会社 代表取締役医師
臨床現場において、最新のバイオロジカル医療や常在細菌学などに基づいた予防医療、生活習慣病から終末期医療まで幅広く診療経験を積んだ後、人と地球を一体のシステムと捉えた「プラネタリーヘルス」を提唱し、執筆、講演、メディア発信を行う。人の意識OSのアップデートから人の病と地球課題の根本解決を目指し、現在は鳥取県に拠点を移し社会実装を行なっている。

「プラネタリーヘルス」の理論と実践の書『腸と森の「土」を育てる〜微生物が育てる人と環境』(光文社新書)が話題。

私たちにとって「肉体」がある意味とは?

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人と人との密なるコミュニケーションが制限されて、2年ほどが経ちます。

分断された世界で、皆さんはどれだけ心が躍るような体験ができているでしょうか?


「私たちはこの世界にこの肉体を持って何をしに来たのか?」ということについて思いを馳せる時、たくさんの出会いを体験しにやってきた、と言えるのではないかと思います。

この小さな肉体の中に閉じ込められることは、確かに窮屈ではありますが、

五感を通じて多様な世界と出会うこと。

自分とは違う多様な人やモノ、
多様な価値観、多様な言葉 etc…

こうしたたくさんの「違い」に出会うことで、時に笑い、時に喜び、時に怒ったりもしながら、経験の中で学び、気づき、そして成長していきます。



この世界にもし、自分一人ぼっちだったら。
全てが自分だったとしたら...。

私たちは、傷つきもしない代わりに、楽しみもなく、成長することもありません。
「出会うことができない世界」は、とてもつまらないのではないでしょうか。

行動が制限され、出会いが制限された世界の中で、私たちはあたかも、世界から切り離されてしまったかのように感じます。



でも、心の目を研ぎ澄ませば、この分断された世界の中でも、

私たちは常に全てと繋がっている

というのが真実であることが分かるはず。



日常を丁寧に観察すれば、真実はいつでも目の前にあるのです。

「食」を通して、生命の綱とつながることができる

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たとえば、「食べる」ということについて観察してみましょう。
私たちは、生きるエネルギーを得るために、毎日何かを食べています。

それはパソコンを触りながらかも知れません。あるいはSNSを眺めながらかも知れません。生まれた瞬間から毎日繰り返してきた日常の営みについて、私たちは深く考えることはなかなかありません。


でも、この「食べる」という行為は私たちに“出会い”を与え、私たちを地球と結んでいます。私たち人類が食べるものは全て、動物や植物の命を頂くものです。自分の命を生かすために、私たちは、他の動物や植物の命をもらわなければならないのです。

他の生物の死をもって、自分の命を生かす。

これが「食べる」という行為であり、地球上の全ての動植物は、こうして他の生物に助けられて生きています。地球上には、細菌などの微生物やミミズなどの土壌動物、植物、昆虫、鳥、小動物、大型動物、そして人類を含む生物が、生態系というネットワークをつくっています。

そのネットワークは、「食べる」ことによって地球上全てが網のように結ばれた、

「生命の網(WEB OF LIFE)」

と呼ばれています。


人も、食べることによって、この地球上に編まれた生命の網の一部に結ばれているのです。このように考えると、私たちは一人で孤独に生きていくなんてできないことが分かります。

食べることで常に、他の生物の命を頂いている。だから、「お命頂戴致します」という感謝を込めて「頂きます」と合唱するわけです。


そうなると、一口一口がとても有り難く、とても無駄にはできなくなりますよね。そうやって、ゆっくりと食べることに集中すると、五感を通じて「命」と出会うことができるのです。

食べることは、五感をフルに活用する行為です。
目で彩り豊かな料理を眺め、鼻で豊かな香りを嗅ぐ。舌触りを感じながら、ポリポリという音を耳で聴き、重なり合う味を感じる。

意識的に集中しながら食べることは
「マインドフルネス・イーティング」とも呼ばれ、一つの瞑想にもなっています。


できれば、工場で作られた加工食品ではなく、土で育った元気な野菜や果物を選んでみましょう。農薬や化学肥料を使ったものよりも、豊かな土で育ったオーガニックのものが理想的です。

人と地球とを結ぶシステム「プラネタリーヘルス」とは?

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例えば、りんご。

りんご1個が育つためには、豊かな土が必要です。豊かな土には、ミミズやダンゴムシや微生物がいて、落ち葉などを分解、発酵させてたくさんの栄養を生み出します。

りんごの木の根には、土から栄養や水を運ぶのを助ける微生物が共生しています。りんごの花が咲き、受粉して実をつけるためには、ミツバチの助けが必要です。実がつけば、鳥が来ます。鳥の糞は、土に栄養を与えてくれます。その糞をまた、土の中の微生物が分解してりんごの根に与えてくれます。


そんな風に、りんご1個が自分の口に入るまでには、たくさんの生物たちが協力し合っているのです。そして、口に入ったりんごは、私たちの口で噛み砕かれ消化液で溶かされ、それから、腸内細菌によって発酵されて、腸内の「土」になります。

りんご畑の土と同じように、腸内細菌の働きによって、りんごが発酵されると元の状態よりも、より栄養が豊かになります。

そうしてできた腸内の「土」に、まるで根っこのような腸の上皮細胞が根を下ろし、栄養を吸収します。そして、植物の葉脈のような役割をする血管によって栄養が運ばれ、実にあたる細胞に与えられます。


私たち人間の健康のためには、細胞が元気であることが大事です。でも、その細胞が、植物の実のようなものだとしたら、その実を元気にするためには、腸内の「土」が微生物によって豊かに発酵していることが大事ということになります。


土は、生命を生み出す場。

その土を豊かにすることで、人も地球上の動植物も元気になります。分断されたかに思える世界にあっても、私たちは、食べることを通じて、毎日、世界と出会っています。そして、自分と地球を繋げています。

人と地球を一体のシステムと捉え、その全体を健康にするという考え方を

「プラネタリーヘルス」

と言います。


環境問題や社会問題などは地球の病気と言えますが、地球が病気では人も健康ではいられませんし、それらの問題は、全て、人が影響を与えた結果だから、人が意識を変えて行動を変えることが必須になります。


今、SDGs(持続可能な開発目標)と言って、地球全体の未来のために、2030年までに世界全体で達成しなければならない目標が掲げられています。プラネタリーヘルスを実現することは、ひいては、SDGsの目標達成に繋がります。

プラネタリーヘルスやSDGsというと、大それたことのように思われるかも知れません。

でも、一人一人が毎日の食事を大切にし、食べることやその選択を通じて、自分と地球の土を豊かにすることができます。

生命を生み出す土が元気になることで、土の上に暮らす生物だけでなく、土の中を循環する水を通じて、川や海に暮らす生物や環境も回復させることができます。


では、そのために何をすれば良いのかと考えていらっしゃる方へ。
まずは、「食べる」ことを大切にしてみてください。

五感を研ぎ澄ませば、工場で作られた加工食品よりも、豊かな土で育ったオーガニックの野菜や果物の美味しさに歓びとともに気づくことができます。五感が歓ぶ食べ物は、腸の中の土を豊かにするだけでなく、細胞を元気にしてくれます。

自分の畑を持っていなくても、その野菜を選ぶことで農家さんを通じて畑の周りの環境を豊かにすることもできますね。そうした日常の小さな行動の総和が、自分の歓びと共に、プラネタリーヘルスの実現に繋がりますよ!

 

――――

いかがでしたでしょうか。

私たちの体、そして一人ひとりの
個体が命として成り立っているの
は、

本当に無数の生命の恩恵をいただいている
からこそ。

そのことを象徴しているのが、
毎日私たちが口にしているもの──
日々の食にある、ということがわかると、
改めて、「食べる」ことが深遠な行為に
感じられてくるのではないかと思います。

また、「食べる」という行為を “出会い”
として、私たちを地球と結んでいると
いう一文も、とても心に響くものがありま
した。

「食べることで地球と出会う」ことは、
国民の安寧と五穀豊穣の祈りのもと
おこなわれる大嘗祭や
ご神事のあとの直会(なおらい)など、
古来日本の文化にも流れているもの。

それゆえに私たちにとって「食べる」とは、
ひょっとしたらすっかり当たり前の行為に
なってしまっているのかもしれません。

けれども、一食一食がかけがえのない
出会いであり、自然や地球、宇宙など
あらゆる存在との繋がりを思い起こさせて
くれるものだとしたら...

食に対する捉え方も、また
大きく変わってくるのではないでしょうか。

食こそ、生きていくための基本であり
全ての命を感じるための尊い行為なのです。

ぜひ今日から、食事を始める前に
これまでとは違った思いで、

心からの感謝の気持ちを込めて、
じっくりと深く味わってみてください。

 

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