今から3年ほど前のこと。
心身を整えることだけでなく、仕事の効率もアップしたり幸福感も増すなど、たくさんのメリットがあると聞きつけ、「一石二鳥、三鳥の効果があるならやってみたい!」と、マインドフルネス瞑想に興味をもった時期がありました。
そこで動画を見ながら見よう見まねでトライしてみたはいいものの、実際には続けるのが難しく、あっさり途中で挫折してしまいました。理由は色々ありますが、今なら継続できなかった原因がどこにあったのかがわかります。
それは何かというと、一言で、「思考を止めることができなかった」ということです。
人間の心とはとても複雑なもので、常に矛盾を抱えているもの。
たとえば今ダイエットをしていて、目の前に自分の大好物があった時、「食べてはいけない」と言われるほど、逆に食べたい気持ちに駆られてしまうことがありますよね。
それと同じで、「考えるのを止めて、空っぽになりましょう」と言われると、そもそも考えることが脳のデフォルト状態になっているので、「え?考えるのを止めるってどういうこと!?」と次から次へと余計な雑念が湧いてきて、ひとりでに思考がぐるぐる回り始めてしまったのです。
皆さんも私と同じような経験があるのではないでしょうか。
「考えるのをやめなさい」と言われると、逆に考えてしまう、「気にしないのが大事」と言われると逆に気にしてしまうようなことが。
瞑想することで、雑念を払ってクリアになれると思っていたのに、これでは堂々巡り。
そこで悩んだ末に自分なりに編み出したのが、心に湧いてくる感情を一旦ノートに書き出してみる、という方法でした。
言葉が勝手に出てきてしまうことによって思考が止められないのであれば、それを逆手にとって、心に湧いてくることや感情をまずは一旦思い切って全部書き出してみよう、と考えたのです。
この時心がけたポイントは、時間をかけずにまずは一日5分から、テーマはとくに決めずに次々と浮かんでくる言葉を、ただただ書き留めることでした。とくにその日一日のうちで自分の心が動いたポイントを思い起こして、
「この時、自分はこう思った。こう感じた」、「こういうことが嬉しかった。こういう時に心がざわついた。むしゃくしゃした」「不安を感じた」等々、良いこともそうでないことも嘘いつわりなく全部紙に書き出す、ということを実行してみることに。
日記とは違って、うまくまとめる必要は一切なく、心に湧き出てくる感情をひたすら書き出していく行為なので、自分の本音にも気づきやすくなります。
最初は軽い実験のつもりで始めたので目的地のない地図を歩いているような心許ない感覚もありましたが、一週間くらい続けているうちに、明らかな変化が感じられるようになりました。
以前とは比べものにならないほど心がスッキリして、頭もクリアになっている感覚があったのです。新たな地平線が目の前にパッとひらけたような感覚です!
言葉は頭の中をぐるぐる巡って、雑念を生み出したり思考を生み出すモトになる。しかしそれと同時に「頭の中を整理する効果もある」と。
思考が止められず、怒涛の雑念の嵐に悩んでいた自分にしてみれば、まさに盲点だった部分。
言葉はとめどなく溢れてくるけれど、それを消すことができるのもまた言葉なのかもしれない
そう静かな確信を得た瞬間でした。
最近、改めてそんな自分の経験――いったん心にあるものを全部言葉にして書き出してみた時の感動を振り返っていたのですが、ちょうどそのタイミングで見つけたのが、『書く瞑想』(古川武士 著/ダイヤモンド社より発売)という本でした。
まずびっくりしたのは、その思いもよらぬ新鮮なタイトルです。
瞑想というと、「一般的には静かな空間で目を閉じながら座禅を組んでおこなう」というイメージがあったので、「書く」と「瞑想」が、最初はうまく結びつかなかったからです。
この方法(「書く瞑想」)はおそらく、近年注目を集めている「ジャーナリング」とも近い部分がありそうですね。実際、書くことによる効果はあらゆる方面で実証されています。
そして本を読み進めていくうちに、なんと昔から私が何気なく行なっていた「ノートに思っていることを書き出す習慣」と、かなり共通点が多いことに気づいたのです!
書籍の中でも「ただ紙に書き出してみる」というシンプルな行為によって、思考が整理されて頭の中でこんがらがっていたことの解決の糸口が見えてきたり、自分が本当に何を望んでいるのかわかってくる、といったことが記述されています。
やましたひでこさんの「断捨離」や、近藤麻里恵さんの「こんまりメソッド」など整理整頓のノウハウにも触れ、
お部屋をスッキリきれいにする前にはまず、「家にあるものを全部出すことから始めるがファーストステップ」と強調されていたのも印象的でした。
さらには、「感情は複雑に絡み合っているもの」だからこそ、そのモヤモヤの正体を知るためにも、あれこれ考えずにまずは書き出してみることが有効だとも。
つまり、物理的な空間を整える方法と同様、心と頭を整理するためにはまず、「一旦全部表に出してみる」ことが大事な一歩である、ということです。
たしかに、私たちは目に見える物理空間には自然と意識が向きますが、その分、心の状態は感じることはできても目には見えないので、ついつい後回しに、疎かになってしまいがちです。
でも私たち人間は、肉体だけで成り立っているわけではありません。目に見える世界と目に見えない世界を例えるなら、それは車の両輪です。
そしてそれら二つはセットではじめて存在することができる。つまり人生の真の豊かさも、この物心両面がバランスよく整うことではじめて充足感に満ちたものになるのです。
これはどちらか一方に偏ることなく、両方のバランスを整えていく意識を持つことは本当に大事なこと。だからこそ物理空間を整えるだけでなく、同時に「心のお掃除」も大事だということ。
禅の世界では、掃除が瞑想と言われていて、僧侶たちの一日は身の回りをきれいに整えることから始まりますね。
これは掃除をするプロセス自体に瞑想的な効果があるばかりでなく、それを実践することによって「心も整う」と考えられているからなのではないでしょうか。
同じように、たとえば一日の終わりにその日心に生まれた感情を静かに振り返る時間をもつことは、とても大事なことだと感じています。
「書く瞑想」をやってみたことで、だんだんと大切な心に気づき、本音がわかるようになってきます。
自分が本当に大切にしたいことは何なのか。
自分の心が心底求めているものは何なのか。
どんな人生を歩み、どんな人たちに囲まれて過ごしていきたいのか。
そのような質問を、自分自身の心に素直に問いかけてみるのです。
この習慣を続けていくうちに、いつの間にか心のモヤモヤがスッキリ晴れていくことを実感できるようになるでしょう。
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いかがでしたでしょうか。
「考えるのをやめて心を空っぽに」
と言われると、
「考えないようにしよう」と
逆にそこに囚われてしまうことで、
思考の連鎖から抜けられなくなるという
抜け道のないパラドックスが待っている...。
自分にも思い当たる節があったので、
なるほど!と思わず膝を打ちました。
そして、ここでいう「書く瞑想」は、
人に見せるため、誰かにメッセージを
伝えるための文章ではなく、
自分の心を見つめ直すために行うもの。
だからこそ、まったく気張らずに、
どんどん書き出せばいいということもわ
かって、気持ちがとても楽になりました。
そうやって「書く瞑想」習慣を続けてい
くうちに内観できるようになり、さらに
自分との対話も上手くなって、
思わぬ気づきや発見が得られることにも
繋がっていくのでしょう。
1日たったの5分からできる、新習慣。
これから新しく何かを始めたいという方
は、まずは「書く瞑想」からスタート
してみてはいかがでしょうか。
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