内海さん :
前回、今の時代背景と『すずめの戸締り』をひとつテーマに、ことほぎの輪でお伝えようとしていることについて、お話しさせていただきました。
今日はそのことを踏まえて、「ことほぎ」とは何なのか?というところをさらに深堀りして、石原さんにお話を伺いたいと思います。
私が最初に「ことほぎ」という言葉を聞いた時の印象なのですが。
たぶん皆さんもそうだと思うのですが、日常的に使われる言葉ではないのではないかと思うんですよね。どちらかというと「寿き(ことぶき)」の方がイメージしやすいのではないかと。
石原さん:
そうですよね。
内海さん :
「寿」という漢字は、結婚式とかお正月とかお箸袋に書かれていますね。
あれを寿(ことぶき)と書いて「ことほぎ」というふうにも読むので、こちらの方をよく目にされている方のほうが多いと思うんです。
そこで、今日はいろいろな角度から、「ことほぎ」という言葉の解釈を少し柔軟にしていけたらと思います。
映画『すずめの戸締まり』に話をまた戻しますが、主人公(岩戸 鈴芽:いわと すずめ)が岩戸っていう苗字なんですね。岩戸と言えば、
石原さん:
アメノウズメを表している言葉ですね。それが、そのまま「鈴芽」という名前になっている。
日本神話でなじみ深い岩戸開きのことと、そこに出てくるアメノウズメという女性の神様がモチーフになっているという。
内海さん:
これは、新海さんご自身もおっしゃっていましたね。
石原さん:
はい。
内海さん:
これも、非常にシンボリックだなと思います。
岩戸が閉じた時って、まさしくアマテラスが隠れて、世の中は全部闇に包まれてもう絶望だということで、他の神々も悲嘆に暮れたような状態になってしまう。
しかしそこからアメノウズメが舞いをして、それで天岩戸が開いて、闇が光に反転する。そしてそこからまた、再び希望の光が広がっていく。
そういうモチーフがあると思うので、これは前回もお話ししたように、現実社会の今のこのいろんな本当にリアルに見た厳しい状況の中で、むしろ光を見いだすのが難しい。けれどもそういう中でも、「ことほいで」いきたい。皆さんと「ことほぎ」の世界を作っていきたいと思っているんですね。
今日はどちらかというと、その言葉の「ことほぎ」という言葉を漢字であてた時に、言葉の「言」と「祝う」と書いて「言祝ぐ」という読み方、解釈ができるので、この言葉の本質について石原さんに伺いたいと思っています。
ただ、その前にもう一回引っ張るようなんですが、また『すずめの戸締まり』の話に戻ると。
実はあの映画の中でも、いわゆる言葉、言霊に当たるようなお働きのシーンというのは、そういうふうに解釈すれば、いろいろ出てくると思っていて。
それと同時に、言霊のことを言葉の「言」を物事の「事」って、出来事のこと、事物(じぶつ)の事というふうに解釈することができると思うんです。
これは、「ことほぎ」の全体像をお話しする上で 「どのように事を解(ほど)くか?」という意味合いが、実は言葉の説明の前にすごく大事じゃないかと思っていまして。
石原さん:
はい。
内海さん:
映画で言うと、主人公の鈴芽ちゃんは、過去の「3・11」という出来事に心が封じ込められちゃっているんですよね。心を真っ黒に塗りたくるシーンもあるんですが、その出来事に自分の心自体が囚われ固まって絡まってしまっている状態。
その状態でどんなにその未来に向かって言葉を、よく言われるビジネスでのアファメーションを用いても、なかなかことほぐ未来に向かわない。
まず、自分が出来事を、過去の出来事、今現在起こっている物事をどう解いて、どう柔らかく、それを0(ゼロ)にきれいに流して、しっかりした土台を作った上で、その言葉を発するかっていうのが、実はものすごく大事になってくると思いました。
そのことを前提に、今回は「言葉の本質」というところについて、石原さんにお伺いしたいのですが・・。
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いかがでしたでしょうか?
日本語は「音」を大切にする言葉であり、一つの読み方(音)でも似たような意味や、正反対の意味が含まれている言葉も多くあります。
今回の講座のテーマでもある「ことほぎ」も、そのような言葉の一つ。
お祝い事でよく目にする「寿(ことぶき)」と非常に近しい関係にあるということですね。
さらに、そんな日本語の成り立ちに思いを馳せることができるのが、
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言霊の「言」が、物事の「事」にあたる
―――
というエピソード。
よく「言葉が現実(事)」をつくる」と言われていますが、まさにそのような秘密が言葉の奥深くにある、と言えるでしょう。
では、言葉の本質とはなんでしょうか?
次回は、その奥をさらに深掘りしていくエピソードをお届けいたします。
石原さんの解説にぜひご注目ください!
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