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未来への希望をつなぐ「ことほぎ」とは?

作成者: essence編集部|May 1, 2023 11:00:05 AM

先行きの見えない時代にこそ必要な、日本の叡智

 

 内海さん:
これから皆さんに、「ことほぎ」にまつわる様々なお話をさせていただきたいと思っています。

 

大きく時代が変化していて、それゆえ先ゆきが見えず苦しんでいる方もいらっしゃる社会情勢の中で、なぜ私たちが今「ことほぎ」という概念・コンセプトのもとに、皆さんにこれからの方向性としての知恵と関係性を共有させていただこうとしているのか、ということについて、まずはお話ししていきたいと思います。

 

私たちは今まさに「激動の時代を生きている」と言っても過言ではないと思います。歴史的な区切りでいうと、直近では、昨年2022年から今年、2023年にかけて。それか2025年というところが大きな一つの時代の区切りなのではないか、と思うんですね。2030年、それから2045年だとか。

 

石原さん:
はい。

 

内海さん
いろいろな説がありますが、これからこの時代を生きる私達は、どこに向かってどう生きていけばいいのかと。このような問いは、恐らくどんな立場の方でも今、心の中に横たわっているある種の共通するテーマだと思うんですね。

 

その時代背景的なところをちょっとこう、一つ大きな節目としては技術の発展、「2045年問題」ということは、前からよく言われていましたけれども。こういうターニングポイントは、やっぱり避けて通れないのかなと思っていまして。

 

中でもとくに、いわゆる技術畑のテクノロジーですとかビジネスの先端にいらっしゃる方は、もちろん詳しい世界だと思うんですが、一般的に言われる5G(ファイブジー)とか、メタバースの世界とか。NFTとかDAOですね。そういう世界が、いよいよ実装化されていくわけですね。

 

自律分散型の色んな、そういう新しいマネーシステムだったりもそうですし。それから、VR(仮想現実)・XR(クロスリアリティ)という、人間の色々、認識とか認知に関わるようなものが、続々と出てきている。

 

こうした、いわゆる総称した「デジタルテクノロジー」の世界が今、科学の最先端を走っていて、やはり時代を引っ張っていく一つの原動力っていうのはあると思うんです。

 

そうなると、たとえばAIがどんどん進化していくなど、その外側の進化が「主」であるということになるわけですよね。個人的には、この辺りがテーマでして、外側の進化が主とした場合、人間はどうなるのだろうかと。デジタルテクノロジーの世界は、果たして私たちの内側・内面というところを、より良く変えていく、より良いものに進化させていくような、そこに直結するのか?というと、どうなのだろう、という疑問が生まれてくるわけです。

 

以前、アメリカで、色々と向こうのビジネスとかテクノロジーを見聞きする中で、技術が進めば進むほど、では人間はどうなるんだと。そういう思いが出てきたんです。人間がどうあるべきか?という問題意識は、持っているんですね。

 

私たちは今、そういう中に生きているからこそ、「テクノロジーと人間性をどう響き合わせていくか?」っていうところを模索している段階だと思っています。

 

私は、このデータム・グループの取り組みの中に、その一つの方向性が、答えになるものがあるんじゃないかなと思っていて、その辺の話も石原さんにお伺いしたいのですが。

 

最初から、やや小難しいテーマになりましたので(笑)。皆さんにとっても身近なお話から始めていきましょうか。

映画『すずめの戸締まり』に登場する、重要なキーワードとは

 

 内海さん:
先日、『すずめの戸締まり』という新海誠監督の最新作が上映されましたよね。これは個人的な感想なのですが、あの映画は今、この時代を、本当にまっすぐ真正面から見て、そこに対する色んな角度から読み解けるテーマやメッセージ性が、随所に散りばめられているなぁ、というふうに感じたんです。

 

客観的にも今は、それこそ2020年からのコロナの問題、ワクチンや健康にまつわる問題もありますし、当然ウクライナとロシアの戦争の問題、円安の問題、物価高の問題など、あらゆる問題が山積しています。

 

そういう中で、将来への不安がどんどん募っている方も多いと思うんです。ある種のその生き辛さとか、閉塞感とかですね。もっと言うと、本当に、人によってはもう目の前、闇に閉ざされて、絶望だと。もちろん、ここ数年で実際、自分の事業を閉じるしかなかったような方とか、沢山いらっしゃるのではないかと。

 

石原さん:
はい。

 

内海さん:
それほど今は、厳しい現実を突きつけられている時代に入っていると思うんです。そういう中でも、でも私たちはどう生きられるのか、どういうふうな方向に向かって歩みを進めていけるのかっていう、そういう切り口からも、ぜひこの映画は示唆的ですし、語れる要素が多いと思いまして。

 

色々な切り口から話が展開できると思うのですが、まず最初に石原さんが感じられた全体的な印象からお話をお伺いしたいと思います。

 

石原さん:
そうですね。やはり、一つは大胆だな、といいますか。今の日本の普通に生きていると、あまり馴染みのないような産土(うぶすな)という言葉だったり、遠津御祖神(とおつみおやのかみ)という言葉が出てきたので、驚きました。

 

内海さん:
そうですよね。

 

石原さん:
その辺りが前作『君の名は』辺りからもずっと続いていて、ひとつの系譜があることを感じたんですけども。

 

一方で、結構リアルに311をはじめとした、日本の被災地を巡りながら、土地を鎮めていくんですよね。そこがすごく印象的だなと感じました。

 

内海さん:
そうですね。今回の映画の一番の中心テーマはきっと、そういうところにありますよね。

 

石原さん:
そうですね。そこを前面に打ち出して、またそれが日本で、今はアジア圏でもものすごい人気ですが、多くの人たちに受け入れられるところが素晴らしいなということを非常に強く感じました。

 

内海さん:
そうですね。

 

石原さん:
『君の名』も、もちろん素晴らしかったのですが、最新作の『すずめの戸締まり』では、新海監督が本当に伝えたいこと、そして本当に日本がこれから行かなくてはいけないところがピタッと一致した感じがして、そのことをみんな深いところで分かったんじゃないかな、っていう感じが凄くしました。

 

内海さん:
なるほど。ありがとうございます。

 

たしかに。私は、新海監督の映画すごく好きで、大体の作品は見ているのですが、『すずめの戸締まり』は、石原さんもおっしゃる通り、日本の歴史や本質的なところにぐっと踏み込んだ作品だな、ということを強く感じました。

 

一つはやはり3.11という、ちょうどデータムグループの取り組みの中でも、あの震災に対しての色んなことを先ほど、お話しいただきましたけれども。

 

石原さん:
そうですね。

 

内海さん:
日本人にとっても、やっぱり、まだまだ消化しきれないものとか。

 

石原さん:
そうですね。我々も震災に対する支援をさせていただく時は、とても気を遣うといいますかね。現地で実際に身内を亡くされた方々の思いというのは、どれほど心を寄せたとしてもやはり、他の土地からの人間には理解しきれないものもあると思うんですね。

 

そういう意味でも、新海監督はとても勇気がある方だなと思います。

 

非常にデリケートで、一歩間違えると間違って受け止められてしまうことがあるところも、敢えて今だからこそ共有したいっていうことを、はっきりと記者会見でもお話しされていて。さらに映像でもしっかり表現されたっていうところが、本当に素晴らしいなと思いました。

 

内海さん:
そうですね。私事ではありますが、父方の実家が宮城で、母方の実家が熊本なんですね。どちらも、ここ十年ほど災害があったところで。そういう意味でも、色々と考えさせられることがありました。

 

ちなみに新海監督の、『君の名は』と『天気の子』、それから今作では色々共通しているモチーフみたいなものがあると思うのですが、その一つに破局的な災害、というものがありますよね。例えば彗星が、一作目。

 

二作目は、気候変動で水没する。それで今回はそれが大地震だと。

 

とはいえ、これは映画の中だけじゃなくて、実際にリアルに日本社会でも、世界でも、気候変動の問題ありますし、もっと言うと本当に、それこそ事業のこととか、人間関係のこととか、もう絶望的だなっていうのが目の前に来ることって、生きていれば誰もが経験することだと思うですね。

 

石原さん:
はい。

 

内海さん:
それで、映画全体を通してそこに必ず一回、みんな直面していくわけですが。それでもそういう困難をくぐり抜けて、次の世界を開いていくという、そんな人間の在り方が、私はすごく好きで。

 

石原さん:
そうですね。やはり「扉」というのは、一つのキーワードといいますか、大事なメッセージかな、という印象を非常に強く受けました。

 

もちろん、「扉」というのは一つのメタファーで、それぞれの人にとっての扉があるわけですが。その扉というものをちゃんと扉と認識して「開ければいいんだ」、あるいは逆に「これは閉めた方がいい」という。そういう判断は大事なのだろうな、ということも感じました。

 

もう一つは、・・・

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映画『すずめの戸締まり』の中の
重要なキーワードとして登場する、
「扉」の意味、

さらに「常世」(とこよ)が表す
日本人が本来もっていた時間感覚や
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