約20年ぶりの新作となる、
マトリックス4「レザレクションズ」。
前3作までの内容を踏まえて
今回どんなストーリーになるのか、興味が尽きないところ。
様々な角度からその魅力を引き出し
解析することができるマトリックス・シリーズですが、
今日は少し変わった視点で
「人と人の結び合い」
というテーマから、
この映画について考えてみたいと思います。
マトリックスは、キアヌ・リーブス演じる主人公が、
トマス・アンダーソンという名で
マトリックスに支配された状態から
救世主 “ネオ” として覚醒しその使命を果たしていく物語、
という角度から捉えることができます。
アンダーソンは、電脳支配空間の中で
この世界は何かおかしい、という違和感を感じながらも、
エリートITビジネスマンとアングラ世界のハッカー、
という二つの顔をもって生活しています。
そこから、彼が救世主ネオとしての
進化を遂げていくにあたり、
色々な人物との「出会いと交流」があり、
そのどれもが、不可欠なパズルのピースになっています。
代表的なところから、
まずはざっと登場人物の名前を挙げながら、
その人との「結び合い」が
救世主ネオとしての意識進化に対して
どのような意味合いがあったのか、考えてみましょう。
まず分かりやすいところで、モーフィアス。
預言者から、ネオこそが救世主だと告げられ
人類の希望的存在として、
そのことを強く信じている人物です。
モーフィアスはネオに格闘術を教え、
救世主としての自覚を促します。
一作目では、救世主・ネオを守るために
我が身を犠牲にしてでも
その役割を全うしようとする姿が描かれています。
もしモーフィアスとの「出会いと交流」がなければ
アンダーソンはずっとアンダーソンのまま、
マトリックスに支配され続けるだけだったかもしれません。
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次に、新作マトリックス4の予告でも登場する、
ネオの最愛の女性、トリニティ。
トリニティは、ネオとの交流の中で
次第に彼の魅力に惹かれていき、
愛情を寄せるようになっていきます。
1作目のラストの方のシーンでは
ネオがエージェントに一度殺されてしまうのですが
そこから救世主としての「復活と覚醒」を
ネオが成し遂げることができたのは、
まさに「トリニティの愛の力」でした。
ストーリー背景としては、
トリニティが預言者に
「あなたが愛した人が救世主だ」と
告げられていたのが彼女にとっての確信的な理由で、
「私が愛しているあなたは救世主なんだから、死ぬはずがない」
という、
理屈を超えた、なんともすごい
女性の愛の力が発揮されています。
しかし仮に、あの場面で
もしトリニティがすぐそばにいなかったとすれば、
ネオは弾丸を受けたまま、復活することなく死んでいたでしょう。
マトリックスという映画は基本的に
キリスト教的モチーフのもとに描かれている作品ですが、
その観点から見ると、
このあたりの「死と再生、復活と覚醒」のくだりは、
聖書の中の「愛の教え」の一つの描き方に通じる、
とも言えますね。
トリニティとの「出会いと交流」がなければ、
ネオがその使命を完遂できなかったのは明らかです。
それゆえに、3作目でのトリニティの死までを通して
不可欠なパートナーとしての存在を
新作がどのように描くのか?
ということが
今回の映画の一つの鍵ともなるように思っており、
今から楽しみなところです。
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それからもう一つ。
主人公・ネオと3作目の最後まで
因縁的な対決を繰り広げる
エージェント・スミスの存在も忘れてはなりません。
スミスとネオは正と負、
コインの表と裏のように一対の関係にある、ということが、
3作目までで明らかになります。
そうした背景もあって、
ネオはスミスとの「出会いと交流」の中で、
自らの成長と救世主としての自覚を広げていくのです。
スミスはネオのことをずっと、ネオとは呼ばずに
「アンダーソン君」と呼び続けています。
これは言霊学的な観点から
「名付けの力」と見ても面白いので、
ぜひ注目したい部分です。
では、具体的に見ていきましょう。
スミスにとっては彼はどこまでいっても
「アンダーソン君」であって、
「救世主ネオ」ではありません。
スミスのその意識と意志は
呼び名、名付け、という現象の形で
はっきりと現れているわけですが、
これはマトリックスを通じて登場する他のシーンと
対比してみると
なかなか興味深いものがあるのです。
どういうことかといいますと、
モーフィアスやトリニティのように
「あなたこそが救世主だ」と信じてくれる人と
エージェント・スミスのように
「お前ごときが救世主であるはずがない」と
見下し、絶対に認めようとしない人という、
いわば両者全く正反対の見方をする者たちが
同時に存在しているのです。
しかし結果的には
プラスとマイナス、
その要因のいずれもが相まって、
ネオは急速な進化を遂げていくことになります。
そう考えると、
自分にとって「良い人」との「出会いと交流」ばかりが、
必ずしも自分の成長や役割、使命の自覚のためによいわけではなく
良いも悪いもその両方を自在に
自分の力と受け止める心のあり方が、
自己成長、そして意識進化を促す一つの鍵となる、
ということが言えそうですね。
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さて最後に、3作目のネオの勝利に
欠かせない役割を果たした預言者との
「出会いと交流」について触れたいと思います。
預言者は未来を見通す目を持っていますので
ネオとの出会いや、彼の未来もある程度は見えています。
しかしこれはあくまでも確率論であって
その全てが100%現実化するわけではないということを
ほのめかすシーンも登場します。
どういうことかといいますと...
預言者はネオに、
ネオ自身の「選択」や「意志」が最終的には未来を決める、
というような話をしているのです。
実際ネオは預言者に
「あなたが救世主だ」とは言われておらず、
その才能はある、という伝え方しかされていないのですね。
ですがネオはそれも一つのメッセージとして捉え、
自らと向き合いながら、
最後には「俺ならできる。俺がやる」という意志で、
3作目のラスト、死を賭した人類救済の道を選択します。
さて改めてこうして見てみると、
この多様な「人と人の結び合い」が
マトリックスという作品を織りなしているのと同時に
私たちの人生にとっても、
多様な「人と人の結び合い」が
自分と自分の人生を織り成してきていることが、
いつもと少し違う視点で感じられるのではないかと思います。
それは、いつも自分を信じてくれた
両親や家族であったり
一番身近に支え励ましてくれた
恋人や友人であったり
時に敵対関係にあった人や
かけがえのない仲間や師であったかもしれません。
そんなことを考えながら、映画を通して
「人と人の結び合い」ということから
人生を省みてみるのも、一つの味わい方。
マトリックスシリーズから汲み取れる
気づきをさまざまに広げつつ、
来たる4作目、劇場に足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
きっとこれからの人生にとってまた一つ、
何か貴重な「結び」の時になると思います。
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いかがでしたでしょうか?
内海さんの解説を読んで、
編集部のスタッフも
難解すぎてわからなかった部分が、
「ああ、そういうことだったのか!」
とクリアになり、
パッと視界が開けた感覚になりました^^
またこの記事の
「出会いと交流」、「結び」というテーマは、
まさに人との関係、自然やモノとの関係などの
様々な交流の中で、
自分自身を客観視しながら磨かれ、
学びを深めていくという
白川、「おみち」の叡智とも深く通じる部分がありそうです。
さらに善悪、明暗などの対立概念を超えて、
自らの意志で現実を創造していこうという「あり方」も!
そしてそのことは、
最新作の「未来は選べる」という
サブタイトルに大事なメッセージが
暗示されてるようにも思います。
さて、私たちは果たして世界のシステム、
そして既存の「アルゴリズム」を
超えていくことができるのでしょうか??
マトリックス1〜3のあらすじと考察は以下の記事をご参照ください。
20年の時を超えて、いよいよ封切りとなる
『マトリックス レザレクションズ』。
https://wwws.warnerbros.co.jp/matrix-movie/
ぜひ映画公開前に、
本記事をチェックして、
映画を観る上で参考にしていただけたらと思います。
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